千葉ロッテ井口監督が明かす監督業の難しさ「サイン出さなければよかったとか考える」

2018-11-27 15:20 「Full-Count」佐藤直子
Full-Countの独占インタビューに応じた千葉ロッテ・井口監督※写真提供:Full-Count(写真:佐藤直子)

Full-Countの独占インタビューに応じた千葉ロッテ・井口監督※写真提供:Full-Count(写真:佐藤直子)

2軍戦からメジャーまで「1日中野球を見ているかな」

 チームスローガンに「マクレ」を掲げ、2018年シーズンを戦った千葉ロッテは、今季中盤までAクラス入りを争った。だが、終盤に大ブレーキがかかり、昨季より1つ順位を上げた5位で幕を下ろした。「5位だったことを真摯に受け止める」と話す井口資仁監督だが、来季以降にもつながるチーム作りを目指し、シーズン中は1軍だけではなく、2軍も全試合を映像でチェック。コーチ陣、そして選手とコミュニケーションを図りながら一体感を求めてきた。昨季までの現役生活とは変わり、眠れぬ夜も過ごしたという井口監督が、Full-Countの独占インタビューで明かした本音を全4回でお届けする第3弾だ。

――正直に言うと、自分が打席に立った方が早いな、と思った瞬間もあったのでは。

「それを言ったら終わりなんでね(笑)」

――選手として接する野球と、監督として接する野球に違いはありましたか?

「監督としては、常にランナーがいたら、ヒットを打ってくれる、外野フライをあげてくれる、バントを成功させてくれる、サインを出したら100%成功してくれるって思いでいるけど、当然それが100%思い通りにはいかないからイライラしますよね(笑)。

 でも、サインを出したのは自分だし、チームの負けも最終的には監督の責任。そこは自分がベストだと思うメンバーを試合に出しているし、サインもこれだと思って出しているので、当然ですよね。5位だったこと、失速したことを真摯に受け止めて、来シーズン以降、どうやって苦しい時に立て直しをするか、考えていかないといけませんね」

――現役時代に4打数無安打で終わった時よりも、監督として試合に負けた時の方が、気持ちの切り替えが難しそうです。

「今の方が難しいでしょうね。試合が終わって寝る前に考えますよ。エンドランのサインを出して選手が失敗したら、あの時出さなければよかったな、とか。逆に、サインを出さずにゲッツーになって、出しておけばよかったな、とか。結果論ではありますけど、そこはいろいろ考えます。

 現役の時は、自分がベストパフォーマンスを出すために練習していたのが、今は2軍の試合もタブレットで見るから、1日中野球を見ているかな。時間ができれば2軍の試合映像を見て、メジャーをやっていればメジャーも見ちゃうし。朝から晩まで野球見て、何してるんだろって(笑)」

――2軍の選手のパフォーマンスもご自身の目で確認するんですね。

「もちろん。成績も含めて全部見ています。当然、今岡(真訪)2軍監督もしっかりやってくれている。1軍に選手を上げる時は、基本的には推薦してくれた選手を上げています。今年はファームから上がってきた選手は、みんなよく頑張ってくれた。なかなか上がれない選手もいましたけど、そこは秋季キャンプでしっかり声掛けしました」

難しい選手との距離感「コミュニケーションは取るけど、近すぎないように」

――就任当初から選手とのコミュニケーションの大切さを掲げています。

「コミュニケーションは大事です。ただ、選手と近くなりすぎてしまうのは、また少し違うかなと。その線引きが一番難しいところですね。

 今年もコーチ陣に、コミュニケーションはしっかり取るけど、極力選手と近くなりすぎないようにしよう、と伝えました。本来なら、もうちょっと選手と食事に行ったりしたかったんですけど、それをやってしまうと周囲から贔屓だと思われる可能性もある。基本的には一線を引いて、その上でグラウンドではしっかりコミュニケーションを取るようにしました」

――シーズン中は試合前練習中など積極的に選手に話しかける姿がありました。

「野手も、まだまだ見なければいけないところはある。同時にピッチャー陣は、正直どんな調整をしているのか全部分かっているわけではないので、そこはもっと見るべきところです」

――来季はコーチ陣が一新されます。

「その時々にあったコーチを入れていこうと思っています。当然ずっといるコーチもいれば、今必要なコーチもいる。いろいろな野球の仕方だったり考え方だったり、選手にたくさんヒントを与えられるような環境を作っていきたいなと。バッティングに関しては、ある程度、基礎は終わって第2段階に入ったと思うので、それに相応しい形にしました」

――1軍投手コーチには今季まで北海道日本ハムで投手コーチを務めた吉井理人氏が就任しました。

「選手に近いようで、意外と厳しいんですよ(笑)。いろいろな経験を持っている方なので、楽しみにしています。他球団の目線でうちのチームをしっかり見ていてくれた。ここをしっかりやらないと勝てない、という意見もたくさん聞かせてくれたんですが、お任せします、仰有る通りです、と(笑)。

 投手交代の時、最終的な判断は僕がしますが、今度は吉井さんがどういうコーディネートするのか楽しみですね」

――監督とコーチ陣の意思統一が図れているようですね。

「そうですね。ミーティングは結構頻繁にやっているし、試合が終わった後にみんなで食事に行くこともあります。そこでざっくばらんにいろいろな話をして、活発な意見交換をしています。そこでも風通しのいいチームでありたいので。勝てるチームにするために、我々の意思統一はされていますよ」

他球団とのトレードも積極活用「出られない選手がいるのはもったいない」

――監督と呼ばれるのは慣れましたか?

「最近は『井口さん』って呼ばれることがなくなりましたね。『監督』って呼ばれます。1日中怖い顔してますから(笑)」

――怖い顔をしていても、チームが勝てば笑顔になります。

「現役の時より今の方が、試合に勝つことがうれしいですね。現役の時以上に、チームの勝ち負けに関してはドキドキしている。いつも念じています。『頼む、抑えてくれ』『頼む、打ってくれ』って。それしかできないんで(笑)」

――身体以上に気持ちのアップダウンが多そうですね。

「そうですね。選手の時は勝てなくても、飲んですぐ寝ればよかったけど、監督はそういうわけにもいかない。次の日のことも考えて、相手投手の映像やデータを見てますよ。現役時代よりも、じっくり見てます」

――そういう努力も、選手に存分に実力を発揮して、試合に勝ってもらいたい思いがあるから。

「選手の実力を発揮するという意味では、トレードも含めていろいろ考えています。なかなか試合に出られない選手もいる。そこは他の監督と話をしながら、いろいろなシャッフルをしていければ。今年の岡(大海)と藤岡(貴裕)みたいに、お互いそこにいても出られない選手がいるんじゃもったいない。僕もメジャーでトレードされた経験がありますが、選手にとっては試合に出られるチームにいるのが一番幸せだと思う。そこは恐れずにやっていきたいですね」

(佐藤直子 / Naoko Sato)