名物広報が仕掛けた「新たな視点からの動画」 背景にある危機感と今後への課題とは?

2018-12-06 11:20 「パ・リーグ インサイト」編集部

 1塁線、3塁線に勢揃いした選手を2塁ベース上空から眺める映像、マウンドで投球練習をする投手を上空から眺める映像、マウンドの手前から打撃練習を行う打者と対峙する打撃投手視点の映像、興奮冷めやらぬままベンチで打席を振り返る選手の映像……。

 熱心なプロ野球ファンでもこういった映像を見たことがある人は数少ないだろう。これらは千葉ロッテが11月上旬に行った台湾・Lamigoモンキーズとの交流試合で撮影された動画の数々だ。なぜ、このような撮影をしたのか?

「2017年の台湾遠征の際に、この時期の実戦であればいろいろなことを試してもチームも含めて理解してもらえました。台湾側も新しい試みに興味を持っており、協力的でした」と千葉ロッテの名物広報・梶原紀章氏は語る。

 プロスポーツ界のSNS、動画共有サイトの活用はまさに群雄割拠。各リーグ、各チームがアカウントを持ちフォロワー獲得、ファン増加を目指している。プロ野球界もご多分にもれず「選手の魅力を伝えるオフカットはNPB各球団でも充実をしていました。ですが、近年は競争の時代に本格突入しています」と梶原氏が分析するように、各球団が思考を凝らした動画、写真などを投稿している。

 なぜ、今回台湾でこのような映像撮影が実現できたのか、日本ではできないのか? 答えはNO。現状では日本プロ野球ではベンチへの通信機器の持ち込みが制限されている。だが「このような情報発信の実現にはまだまだ時間が掛かりますが、試合中の選手の生コメント映像は何年か先には実現している可能性もあるでしょう」と梶原氏は期待を寄せる。

 目的は異なるものの、米メジャーリーグでは情報分析、収集を目的にタブレット端末が2016年シーズンから使われている。また2012年ロンドン五輪ではバレーボール女子日本代表の眞鍋政義監督(当時)がタブレット端末を片手に指揮を執っており、現在の中田久美監督も同じスタイルを採用している。これらを考えると、遠くない未来の新しい情報発信にも期待したくなる。

 各球団のSNSで定番化しているオフカットについてはどうだろうか? 千葉ロッテの台湾遠征では空港の表情や、井上選手が台湾で小籠包を探す様子が紹介されていたが、梶原氏は意外にも「プライベートなシーンを撮りすぎると勝敗による緊張感が減ってしまう」という懸念も明かす。

 今後についてはどのように考えているのか?
「ドローンの反響は非常に良かったので、他球団も含めて積極的に起用するのではないかと考えていますし、GoProもまだまだ可能性を秘めていると思います」と、台湾遠征での取り組みには手応えを感じている様子。

 さらに「パ・リーグは6球団で切磋琢磨しながら、SNS戦国時代にさらに突入していくと思います。その中で一歩前に出られるように、これからもチャレンジ精神を忘れずに進みたい」と力強く宣言してくれた。今後、各球団からどのようなコンテンツが我々ファンに届けられるのか注目しよう。