コーチャーBOXからバーカウンターへ マスターとして活躍する元日本ハム戦士の今

2018-12-13 13:01 「Full-Count」編集部
北海道日本ハムで外野手・コーチとして活躍した嶋田信敏氏※写真提供:Full-Count(写真:大森雄貴)

北海道日本ハムで外野手・コーチとして活躍した嶋田信敏氏※写真提供:Full-Count(写真:大森雄貴)

鉄壁守備を売りに選手、コーチとして日本ハムで活躍した嶋田信敏氏

 日本ハムファイターズにドラフト外からテスト入団し、約16年間の現役生活を日本ハム一筋で貫き、コーチとしても1軍と2軍の外野守備走塁コーチを担当した嶋田信敏氏の現在をご存知だろうか。

 引退後は、一般企業に勤めながら、地方局やラジオ、新聞、インターネットメディアAbemaTVの配信などの各種メディアを中心に、プロ野球解説者として、お茶の間に情報を届けていた。また、2006年の春シーズンから東京新大学野球連盟に所属する高千穂大学硬式野球部のコーチに就任。その後、監督にも就任し、大学生たちを指導した。

 その当時の肩書きは「監督代行」。現役時代から“鉄壁の外野守備”と評されていた堅実さは健在。守りの固いチームを作り上げ、嶋田氏指導の下、チームも一部昇格(2018年度現在は東京新大学野球リーグ2部)を果たすなど、その指導は確かであった。

 現在でも、現役時代の鉄壁を若者に伝えようと中学生以上を主とし、走塁と外野守備を中心に、スペシャリストによる専門指導でワンランク上へ導く「OUTFIELDER」として技術を伝授している。

 取材当日は、一般社団法人日本プロ野球外国人OB選手会(略称:JRFPA)の代表理事であるカルロス・ミラバル氏(元日本ハム投手)との忘年会イベントが行われていた。

 そこには、日本ハムコーチ時代に一塁ベースコーチに立ち、現在は赤坂のバーカウンターに立つ“マスター”の顔があった。嶋田氏は、2017年9月29日より、東京メトロ赤坂見附駅より徒歩1分程のビル4階で、カラオケスナック「UTANOB」を開店させた。

 店のコンセプトは「楽しく飲んで歌っておしゃべりをして」。店内にはカラオケセットはもちろんのことギターやシンセサイザー、さらにはドラムセットまで設置してある本格ぶりだ。

 クライマックスシリーズの日には、店内を“野球バー”へと変える。プロ野球解説者時代の縁も相まって、アナウンサーが会場で特設会場を作り「アナウンサー×嶋田信敏」の生実況と生解説を味わいながら、当時の懐かしい思い出話も交える。往年のファンにはたまらない空間になるだろう。

野球人口の減少には「“他のスポーツの良さ”が数十年前より認知された」

 UTANOBをオープンさせた経緯は「元プロ野球選手という肩書きがあるからこそ働くのです。“野球しかできない”のではなく、自分の好きなこと得意なことを活かしつつ仕事をしたい。そこに野球を絡められたら、それ以上のことはない」。

 嶋田氏なりのプロ野球選手・コーチ引退後のセカンドキャリアについても言及している。本人が「得意」と言ったように、嶋田氏の美しい歌声は一級品だ。この日のイベント最後にも、「輝け! 未来へ~Hit&Run~」が、店内カラオケに流れた。最後の一節を嶋田氏が歌うと、その美声に野球ファンが埋め尽くす会場はどよめいた。

 野球ファンのみならず、どんな人でも、嶋田氏のその気さくな人間性と、もしかすると聞けるかもしれないその歌声を求めて、立ち寄ってみるのもいいかもしれない。

 嶋田氏は、元プロ野球選手のため、公益社団法人日本学生野球協会「学生野球資格回復に関する規則による適性認定者」も認定済だ。現在でも、自身の経験や技術を伝えるべく、学生野球(高校・大学)のコーチとして出張クリニックなどで野球に関わることを望んでいる。

 現在起きている、若年層の野球競技人口減少に対して嶋田氏は「私たちの世代がやっていた頃はダントツでスポーツ界の先頭にいたのが野球でした。それに現在まであぐらをかいていたとは言いません。野球界だって頑張ってます。ただ、“他のスポーツの良さ”が数十年前より認知された事は確かです」と力説する。

「特にJリーグの発足と盛り上がりは他のスポーツ界に刺激を与え、更にネット等で色々な情報を得ることができるようになり、日本人が世界で戦う姿が“原石たちに選択肢を与えた”ことが大きいと思います。他のスポーツも魅力があると認知されるようになったのだと思います」

 野球が全てではなく、スポーツ全体をみた意見は、全く違うジャンル、UTANOBという新しいジャンルで活躍しようとする嶋田氏らしい答えだ。カラオケスナックへと活躍の場を移したが、危機的状況にある野球界へ対する想いは強く持っている。ふらっと立ち寄るお客様を歓迎し、自らグラウンドにも足を運び技術を提供する。嶋田氏の今後の活躍に注目したい。

(大森雄貴 / Yuki Omori)